7月24日、東京証券取引所が日本株を売買する際に最低100株単位としている取引ルールの変更を検討するというニュースが流れました。
例えば産経新聞では「東証、株式売買1株単位視野に 現在は100株単位、取引ルールの変更を検討」という以下の記事が掲載されています。
東京証券取引所は24日、日本株を売買する際に最低100株単位としている取引ルールの変更を検討すると発表した。1株単位に引き下げることも視野に入れる。個人が少額でも投資しやすい環境を整備する狙い。機関投資家や証券代行機関などで構成する勉強会を10月から開いて課題や具体策を議論し、来年3月をめどに策定する。
現行のルールでは少なくとも株価の100倍の元手が必要になる。東証によると、上場企業の約1割は取引1回当たり50万円以上かかっている。1株単位で買えるようになり、元手が少なくて済めば、個人投資家の裾野拡大が見込める。一方で投資家が拡大すると、企業側は株主総会の開催にかかる費用が増えるといった課題がある。
「東京証券取引所が発表した」とあるので、日本取引所グループ(JPX)のホームページを見ると、「『少額投資の在り方に関する勉強会』の設置について」という以下の記事が見つかりました。
東京証券取引所(以下「東証」という)は、個人投資家が投資しやすい環境を整備する観点から、投資単位として「50万円未満」が望まれる旨を示し、上場会社に対してその水準への移行・維持をお願いするなど、投資単位の引下げに取り組んでまいりました。最近においても、多くの上場会社に株式分割による投資単位の引下げを実施いただいております。
一方、日本株の投資単位は、諸外国と比べても、引き続き高い状況にあることなどから、政府の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」においても、投資単位が高い上場会社に対する株式分割の促進やより少額で投資できる方策に関する検討が示唆されるなど、さらなる取組が期待されております。
そこで、今般、東証は、個人投資家が“より”日本株に投資しやすい環境を整備すべく、下記のとおり、「少額投資の在り方に関する勉強会」を設置し、その実現に向けた課題や方策等について検討を行うことといたしましたので、お知らせいたします。
上記東証のお知らせでは「1株単位で買えるようにする」とは明確に書かれておらず、ニュース記者が憶測で書いたのか、それともプレスリリース時に質疑応答があり、そこで口頭で述べたのかは分かりませんが、以下、1株単位で買えるようになるという前提で書きます。
個人投資家としては、1株単位で買えるようになることは大歓迎です。現状の100株単位で購入するルールでは大きなお金が必要となり、投資を躊躇することが多々あります。
一方、現状でも証券会社の独自施策で1株から購入できるので必要ないという人もいるかもしれません。例えば、楽天証券では「かぶミニ」という名前で単元未満の株取引ができるサービスを提供しています。しかし、
・成行注文しかできない
・リアルタイム取引ではスプレッドがかかる
という制限があり、必ずしも使い勝手が良いとはいえません。1株単位で買えるようになるとこれらが解消されるので大歓迎です。
ニュースの中で「投資家が拡大すると、企業側は株主総会の開催にかかる費用が増えるといった課題がある」とありますが、株主総会に参加できるのは100株以上を持っている株主に限るという制約をつければよいだけですので、全く問題ではないと思います。
また現状では配当金のお知らせなどが郵送で送られてきていますが、それらも電子メールで十分です。無駄な郵便を減らす枠組みも勉強会で議論してほしいと思います。
「来年3月をめどに策定する」とのことなので、より日本株への投資が活発になる施策を楽しみにしています。